『火の鳥ときつねのリシカ チェコの昔話』の「みどころ」を、絵本ナビライターの大和田佳世さんが、絵本ナビに書いてくださいました。
大和田さんのメールにはこんな言葉がありました。
「小学生の中高学年が読んで手にとってくれたらいいなあ…と思っています」
先日のJBBYのオンライン講座に参加されての感想もありました。
何より、丁寧に読んで紹介してくださったのが嬉しいです。ありがとうございました!
***絵本ナビより***
みどころ
チェコの人々に親しまれ、語り継がれてきたおはなしを集めた昔話集です。
「チェコのグリム」と言われるカレル・ヤロミール・エルベン、女性作家のボジェナ・ニェムツォヴァーという2人の作家が書き残したものを中心に、短いものから長めの昔話まで、生き生きと編纂されています。
苦難の歴史を持つチェコに伝わってきた、骨太で、ちょっと不気味で、人々のユーモアやたくましさが感じられる、味わい深いおはなしが登場します。
訳者は、子ども時代の数年間をチェコで過ごし、後にチェコ語翻訳家となった木村有子さん。
おなじみの昔話はもちろん、木村さんの現在のチェコの友人たちの意見なども踏まえながら、丁寧におはなしを選ばれたそうです。
冒頭のとても短い、チェコらしい小咄「題名のないお話」で、「わたしの服には、ポケットが七十個もついています。そのポケットの中には、お話がひとつずつ入っているのですよ。さて、きょうはどのお話にしようかしら」と始まります。
次もまた、短い詩のような「小さないえがあったとさ」。“○○があったとさ”“その○○はどうしたの?”“〜〜になっちゃった”と、行ったり来たりを繰り返す、振り子のようなリズムが心地いい!
いよいよ3つめ「オンドリとメンドリのお話」から、本格的に昔話がスタート。これはチェコ人ならば誰もが知るストーリーなのだそうです。
他にも、キツネの導きで王子が宝物を手に入れる表題作、切り株のあかちゃん「オテサーネク」、妖精にさらわれる子どもの話「スモリーチェク」、チェコ版河童伝説ともいえる「水の主ヴォドニーク」など、味わい豊かな物語がたくさんおさめられています。
挿絵は、チェコ在住の画家、出久根育さん。
異国情緒のある繊細なタッチが美しく、かつ、チェコの庶民のおはなしにふさわしい、素朴なユーモアのある線画もたっぷりで、ファン必見です。
不思議な力強さとひたむきさ、どきっとする不気味さがある、選りすぐりの24話をお楽しみください!
(大和田佳世 絵本ナビライター)